🌿過去を振り返ることが、つらくなるとき
自分のことをもっと知りたい。
どうして私は、こんなふうに考えてしまうのだろう。
なぜ、同じようなことで傷ついたり、悩んだりするのだろう。
そんな思いから、自分のこれまでの人生を振り返ることがあります。
けれど、過去を振り返ることが、必ずしも穏やかな気持ちにつながるとは限りません。
忘れていたはずの出来事を思い出したり、あの頃の悲しさや寂しさがよみがえったり。
自分を知ろうとしたはずなのに、かえって苦しくなってしまうこともあります。
私にも、そんな経験がありました。
🌿自分の人生が悲しくなった
以前、私はカウンセリングを学ぶ学校に通っていました。
誰かの心に寄り添うことができたら。
そんな思いもあって、学び始めた頃のことです。
授業の中で「人生脚本」という考え方を学ぶ機会がありました。
人は育ってきた環境や周囲の人との関わりの中で、自分なりの考え方や行動のパターンを身につけていく。
そのような視点から、自分の人生を振り返ることになりました。
私は、その考え方に「なるほど」と思いました。
けれど、実際に自分の人生を振り返ってみると、思いがけない感情が込み上げてきたのです。
幼い頃から感じていた、家族の中での違和感。
どこか満たされなかった思い。
寂しかったこと。
つらかったこと。
それまでの出来事が次々と思い出され、私は自分の人生そのものを悲しく感じてしまいました。
「どうして私は、こんな人生を歩んできたんだろう」
過去を理解しようとしていたはずなのに、そこに見えてきたのは、苦しかった自分の姿でした。
🌿あの頃の私は、寂しかったんだ
私は幼い頃、養女として迎えられました。
育ててもらったことへの感謝はあります。
けれど、それとは別に、子どもの頃の私には、言葉にできない寂しさや違和感がありました。
大人になってから振り返ると、あの頃の自分が何を感じていたのか、少しずつ見えてくることがあります。
そして、私は気づいたのです。
「あぁ、寂しかったんだ」
ずっと心のどこかにあった思い。
それを、ようやく自分で理解できたような気がしました。
それまでの私は、つらかった出来事ばかりに目を向けていたのかもしれません。
けれど、その出来事の中には、懸命に生きていた自分もいたのです。
🌿今の自分が、あの頃の私に声をかける
私は、自分の心を少し離れたところから眺めることを「もう一人の自分」と表現しています。
悲しんでいる自分。
怒っている自分。
寂しさを抱えている自分。
その気持ちにのみ込まれているときには、なかなか気づけないことがあります。
でも、私自身が、あの頃の姿を眺めてみたらどうでしょう。
あの頃の私は、何を感じていたのだろう。
どんな思いで毎日を過ごしていたのだろう。
私の中には、幼い女の子の姿が浮かびます。
その子に、今の私が声をかけるのです。
「寂しかったんだね」
「これまで、よく頑張ってきたね」
誰かに理解してもらいたかった気持ち。
誰かにかけてもらいたかった言葉。
それを、今の自分が、あの頃の自分に伝えてあげる。
もう一人の自分が、今の自分を客観的に眺めるのも自分のことを理解するきっかけになります。
今の私はつらかった頃の気持ちを理解し、寄り添ってあげることもできるのだと思います。

🌿自分を抱きしめてみる
自分自身をいたわる方法のひとつに「セルフハグ」というものがあります。
自分の両腕で、自分の身体をそっと包み込むように抱きしめてみる。
誰かを慰めるときのように、自分自身にやさしく触れてみるのです。

そして、心の中で声をかけてみます。
「つらかったね」
「よく頑張ってきたね」
言葉が浮かばなければ、何も言わなくてもかまいません。
ただ、自分をやさしく包み込む時間を持ってみる。
それだけでも、ほっとする人がいるかもしれません。
もちろん、身体に触れることが落ち着かない人もいるでしょう。
無理に抱きしめたり、何かを感じようとしたりする必要はありません。
大切なのは、自分の気持ちを置き去りにしないことなのだと思います。
🌿つらかった過去が、乗り越えてきた経験に変わった
自分の人生を振り返ったとき、私は苦しかった出来事ばかりを見ていました。
どうして、こんな人生だったのだろう。
そんな思いでいっぱいになっていました。
けれど、寂しかった自分に気づき、その自分に声をかけることができたとき
少しずつ見え方が変わっていきました。
つらかったことは、つらかったことのままです。
寂しかった過去が、なかったことになるわけでもありません。
でも、その中で私は生きてきた。
いろんな思いを抱えながら、そのときそのときを懸命に過ごしてきた。
そんな自分の姿が見えてきたのです。
そして、いつしか私の中で、つらかった過去は「乗り越えてきた経験」として
受け止められるようになりました。
それは、私にとってひとつの自信になりました。
過去が変わったのではありません。
過去の自分を見る、今の私のまなざしが変わったのだと思います。
🌿自分にとっての理解者は、自分
私たちは、誰かに理解してもらいたいと思うことがあります。
つらかった気持ちをわかってほしい。
頑張ってきたことを認めてほしい。
そんな思いを抱くこともあるでしょう。
誰かに話を聞いてもらうことや、支えてもらうことは、とても大切です。
けれど、自分自身もまた、自分の気持ちに耳を傾けることができるのではないでしょうか。
あのとき、何が悲しかったのか。
本当は、どうしてほしかったのか。
どんな思いで頑張っていたのか。
すぐに答えが見つからなくてもいい。
私自身が、そっと耳を傾けてみる。
私は、そのことも自分を大切にするひとつの方法だと思っています。
🌸 最後に
過去を振り返って、つらくなってしまうことがあるかもしれません。
そんなとき、無理に前向きな意味を見つけようとしなくてもいいのだと思います。
今は振り返りたくない。
そう感じるなら、立ち止まってもいい。
そして、もし少しだけ心に余裕が生まれたら、あの頃の自分を思い浮かべてみる。
あの頃の自分に、今のあなたなら、どんな言葉をかけてあげたいでしょうか。
悲しかった自分も、寂しかった自分も、懸命に生きてきた自分です。
その姿を知り、いたわることで、これまでとは少し違う景色が見えてくることもあるかもしれません。
私は、そうして自分の人生を受け止め直すことができました。
今日のあなたも、これまでいろんな経験を重ねて、ここにいます。
そんな自分に、少しだけやさしい言葉をかけてあげられたらいいですね。
今日のあなたの心に、小さな灯りがとどきますように。🌿
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