自己評価が低いと、お人よしに拍車がかかる

「心との向き合い方」

― 心のスイッチが入ったとき、もう一人の自分に問いかけてみる ―

私は昔から、興味を持つとすぐに行動したくなるところがあります。

面白そうだと思えばやってみたい。
良いものを見つけたら、誰かにも教えてあげたい。

そんな性格が、自分の可能性を広げてくれたこともありました。

でも、その一方で、何度も失敗を繰り返してきました。

今振り返ると、失敗の原因は、単に行動力がありすぎたことだけではなかったように思います。

自分では気づいていなかった感情が、知らず知らずのうちに判断に影響していたのです。

今日は、そんな私の経験をお話ししたいと思います。

自分が良いと思ったものを、友達にも伝えたかった

以前、私はネットワークビジネスに取り組んでいたことがあります。

当時の私は、その商品や事業の可能性に魅力を感じていました。

「これはすごい!」

自分が良いと思ったものだから、当然、友達にも教えてあげたい。

そんな気持ちで、親しい友人たちをセミナーに誘いました。

ところが、誰も来てくれません。

ランチやお茶に誘っても「おしゃべりはするけど、その話はなしで」

友達は、ネットワークビジネスに対して、きちんと境界線を引いていました。

今思えば、ごく自然な対応だったと思います。

でも、当時の私は違いました。

「どうして? こんなにすごいのに」

「私ではうまく説明できないから、一度セミナーで話を聞いてみてよ」

そんなふうに思っていました。

そして、心のどこかで、こんな気持ちが生まれていたのです。

「私が良いと思ったものなのに、どうしてわかってくれないんだろう」

友達は、商品や事業に興味がなかっただけなのに。

私は、自分の言葉まで軽く扱われたように感じていました。

「私の言葉って、そんなに薄いんや」

そんな思いが、心の中に残っていたのです。

自分の当たり前は、相手の当たり前ではなかった

私はそれまで、友達からの誘いを断ることがほとんどありませんでした。

食事に誘って、友達が「今、お金がない」と言えば、ごちそうすることもありました。

無理をしていたわけではありません。

自分にできることを、自分の意思でしていただけです。

でも、自分の誘いを断られたとき、思いがけない感情が出てきました。

「私はあれもこれもしてあげたのに……」

そんな恩着せがましい気持ちが、自分の中にあったのです。

そのことに気づいたとき、

「これはあかん」

と思いました。

友達に腹が立ったというよりも、自分の中にそんな気持ちが生まれたことが嫌だったのです。

そして、少しずつ自分から連絡を取らなくなりました。

今ならわかります。

いくら仲が良くても、価値観は別。お金の使い方も、何を大切にするかも別。

友達は私を否定したわけではありません。

自分の価値観で判断していただけだったのです。

でも当時の私は、誘いを断られたことを、自分自身の評価が低いことのように受け取っていました。

自分がしてもらえなかったことを、相手にしてあげたかった

その後、私は別のネットワークビジネスの誘いを受けました。

当時は看護師を退職し、自分の好きなことで働く道を探していた時期でした。

物販にも挑戦していましたが、なかなか思うような成果が出ません。

商品が売れても手数料が高く、動いた時間や労力のわりに、手元に残る収益は少ない。

それでも、自分の好きなことを仕事にしたい。

今までとは違う働き方をしてみたい。

そんな思いを持っていました。

あるとき、物販を通じて知り合った仲間から誘いがありました。

遠くの地方から大阪まで会いに来るというので、日程を空けました。

ところが、話を聞いてみると、実はセミナーへのお誘いだったのです。

私は言いました。

「そんな怪しいところ、やめとき!」

でも、相手は聞き入れる様子がありません。

それなら、私が一緒に行って話を聞こう。

おかしなところだったら、きっぱり断ろう。

むしろ、友達の目を覚ましてあげよう。

そんなつもりでセミナーに参加しました。

ところが……。

「すごい!!」

なんと、私のほうが感動してしまったのです。

紹介されていたのは、サプリメントでした。

顔のたるみが改善したように見える変化に驚き、すっかり魅了されてしまいました。

そのときの私は、

「これ、すごいやん!」

「友達にも教えてあげたい!」

そんな気持ちでいっぱいになっていました。

怪しいと思っていた人が、一気に素敵な人に見えてしまったのです。

友達の目を覚ますつもりが、自分が夢中になって帰ってきた。

今思えば、なんとも私らしい話です。

でも、なぜ私は、そこまで簡単に心を動かされてしまったのでしょう。

今になって振り返ると、ひとつ思い当たることがあります。

以前、自分が良いと思ったものを友達に勧めても、話を聞いてもらえなかった。

その残念な気持ちが、心のどこかに残っていたのです。

だから、誰かが私に話を持ってきてくれたとき

「私はちゃんと聞いてあげたい」

「やるかやらないかは、そのあと自分で決めればいい」

そう思いました。

自分がしてもらえなかったことを、相手にしてあげたかったのです。

でも、そこには落とし穴がありました。

話を聞くことと、相手の期待に応えること。

商品に感動することと、その事業に参加すること。

本来は別々に判断できることなのに、私の中では、いつの間にかひとつにつながっていました。

心のスイッチが入ると、見えなくなるものがある

人は、どんなときに心を動かされるのでしょう。

生活に不安があるとき。

今の自分を変えたいと思っているとき。

誰かに認めてもらいたいとき。

自分の可能性を信じたいとき。

そんなときに、希望を感じる話と出会ったら、心が大きく動くこともあると思います。

例えば、家族との関係に悩み、自分の居場所がないと感じている人がいたとします。

そんなとき、誰かから優しく声をかけられたら。

「あなたのことを理解しているよ」

「あなたには価値がある」

そんな言葉に、救われたような気持ちになることもあるでしょう。

その気持ち自体は、決して悪いものではありません。

でも、もし相手がその心情を利用しようとしていたら……。

心が満たされたことと、その相手が信頼できることは、必ずしも同じではありません。

もちろん、誰もが同じように判断を誤るわけではありませんし
相手の心情につけ込む行為の責任は、利用する側にあります。

私自身も、好きなことを仕事にしたいという希望や
誰かに喜んでもらいたいという気持ちを持っていました。

その気持ちは本物でした。

でも、自分の気持ちが本物だからといって、相手の話まで正しいとは限らない。

そこを見極めることが、当時の私にはできていなかったのです。

ここでお伝えしておきたいのは
私はネットワークビジネスそのものを否定したいわけではないということです。

今回振り返っているのは、その仕組みの良し悪しではなく、当時の私自身の心の動きです。

何に魅力を感じ、何を期待し、どうして冷静な判断ができなくなってしまったのか。

自分の感情が、知らず知らずのうちに判断に影響していたこと。

その経験から気づいたことを、お伝えしたいと思っています。

誰かの反応で、自分の価値を決めていませんか?

私は、自分が良いと思ったものを友達に断られたとき、自分の価値まで低く感じていました。

でも、友達は私を否定したわけではなかったのです。

自分にとって必要かどうかを、自分で判断していただけでした。

そして、私にも同じように選ぶ自由があったはずです。

相手の話を聞いてもいい。

興味を持ってもいい。

でも、断ってもいい。

誰かの期待に応えられなくても、自分の価値が下がるわけではありません。

相手の気持ちを大切にすることと、自分の判断を大切にすることは、両立できるのです。

今なら、そう思えます。

心が動いたときこそ、もう一人の自分に問いかけてみる

今でも私は、興味を持つとすぐに走り出したくなるところがあります。

面白そうなことを見つけると、ワクワクする。

新しい可能性が見えると、挑戦したくなる。

そんな自分を、無理に変えようとは思っていません。

ただ、以前と違うのは、立ち止まることの大切さを知ったことです。

心が大きく動いたとき。

「すごい!」と思ったとき。

誰かの期待に応えたくなったとき。

そんなときこそ、少し離れたところから自分を見つめる、もう一人の自分に問いかけてみる。

「私は今、何に心を動かされているんだろう?」

「相手に認めてもらいたい気持ちが、判断に影響していないかな?」

「少し時間を置いても、同じように思えるかな?」

そうやって、自分の気持ちを確かめてみる。

そして、お金や契約が関わることなら、その場で決めずに時間を置き
内容を調べたり、信頼できる第三者に相談したりする。

心のスイッチを切るというのは、感情を消すことではなく、その感情に判断を任せないこと。

私は、そう思うようになりました。

🌸最後に

あの頃の私は、何度も失敗を繰り返しました。

でも、好きなことを仕事にしたいという思いまで、間違っていたとは思いません。

夢を持つことと、その夢に向かう道を選ぶことは別なのだと思います。

自分の心の弱いところを知ることは、自分を責めるためではありません。

自分を守るためです。

心が動くことを恐れなくてもいい。

ただ、その勢いに任せて走り出す前に、もう一人の自分と少し話してみる。

自分が何を求め、何に心を動かされているのか。

その気持ちを知ることが、自分を大切にすることにもつながるのかもしれません。

今日のあなたの心に、小さな灯りがとどきますように💫

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