今のあなたに出会うための手引書
この世に生を受け、
人生という道を歩みはじめた私たち。
その道のはじまりは、人それぞれです。
あたたかい環境から始まる人もいれば、
過酷な環境から始まる人もいる。
生まれる場所も、育つ環境も、
自分で選ぶことはできません。
物心がつく頃、
自分の環境が、周りやテレビで見る「家庭」のイメージと少し違うことに
戸惑いを覚える人もいるかもしれません。
私自身も、幼い頃から周りの家族の様子との違いに、違和感や孤独を感じていました。
なぜ自分はこの環境にいるのだろう。
なぜ、ほかの人とは違うのだろう。
そんな疑問を抱いたこともあります。
けれど、今振り返れば、
その環境の中でも、私は育ててもらい、さまざまな経験を重ねてきました。
人生のはじまりは、自分では決められない。
でも、そこからどんな道を歩いていくのか。
成長するにつれて、少しずつ自分で選べることが増えていきます。
🌿 思い描いた道とは違う道
人生は、思い描いたとおりに進むとは限りません。
平坦な道もあれば、
いばら道のように痛みを伴うこともあります。
私も若い頃、心のよりどころを見つけたと思い、若くして結婚しました。
けれど、思いがけない出来事によって離婚し、生活が大きく変わりました。
嫉妬や悔しさに心を奪われ、
自分がどうやって毎日を過ごしていたのか、思い出せないほど苦しかった時期もあります。
そんな嫉妬に支配されている自分に気づいたとき、
「このままではいけない」
そう思いました。
そこから、子どもたちとの生活を守るために、新しい道を選びました。
もちろん、その先に待っていたのは、決して楽な生活ではありません。
仕事を探し、生活を支え、子どもを育てる。
それまで知らなかった社会の厳しさにも直面しました。
それでも、目の前のことに必死で向き合いながら、一歩ずつ歩いてきました。
🌸 人には、その人の道がある
人生の中では、周りの人の言葉に傷つくこともあります。
私も、自分の選択について、心ない言葉を向けられたことがありました。
その人は、私がどんな事情を抱え、どんな思いで決断したのかを知りません。
けれど、その人にはその人の考え方があり、育ってきた環境があります。
ある人にとって正しいと思える生き方が、別の人にとっても正しいとは限りません。
同じ出来事を経験しても、
感じることも、選ぶ道も違います。
私自身もまた、周りの人の人生を羨ましく思ったことがありました。
仲睦まじく過ごす家族を見て、
「いいなぁ」と思うこともありました。
けれど、外から見える姿だけでは、その人がどんな道を歩いてきたのかはわかりません。
人には、その人なりの人生がある。
自分には、自分の人生がある。
その人も、その人なりに懸命に生きている。
そして私も、私なりに懸命に生きている。
そう思えたとき、
不思議と心があたたかくなり、安心したことを覚えています。
誰かと比べて、自分の人生を良いとか悪いとか決めなくてもいい。
それぞれが、自分だけの道を歩いているのだから。
🍃 経験は、自分だけの財産になる
人生をひとつのゲームにたとえることがあります。
でも、それは楽しいことばかりのゲームではありません。
思いがけないトラブルやアクシデント、
避けることのできない試練もあります。
ときには、自分の選択を後悔したり、
何もかも投げ出したくなることもあるでしょう。
私も、いつも何かに挑み、何かを追いかけて、必死に生きてきたように思います。
生活を支えるために働き、
子どもを育てながら看護学校で学び、
一度は諦めかけた看護師という目標にも、50歳で挑戦しました。
思うようにいかないことも、たくさんありました。
けれど、時間をかけて歩いてきた道を振り返ると、そこには確かに積み重ねてきたものがありました。
苦しかった経験も、
悔しかった経験も、
思いどおりにならなかった出来事も。
そのときには、ただ苦しいだけだったことが、あとになって自分を助けてくれることがあります。
以前は理解できなかった誰かの言葉も、その人の背景を考えることで、違う見方ができるようになったり。
初めての困難に戸惑っていた自分が、いつの間にか「何とかなるかもしれない」と思えるようになっていたり。
経験が、これからの人生を歩くためのアイテムになる。
もちろん、つらい経験を無理に意味のあるものに変える必要はありません。
ただ、長い時間をかけて振り返ったとき、そこから何かを受け取っていた自分に気づくこともあるのです。
🌷 自分が自分を認められる人生
若い頃の私は、
なぜこのような人生なのだろうと、
生まれた環境を恨めしく思ったこともありました。
誰かと比べて、自分にはないものを数えたこともあります。
でも今は、少し違います。
自分の人生を振り返ったとき、
「あの頃の自分、よくがんばったね」
「本当にえらかったね」
そう言ってあげたいと思うのです。
誰かに褒めてもらうためでも、
誰かに認めてもらうためでもありません。
自分が何を感じ、何を選び、
どんな思いで歩いてきたのか。
その道を一番よく知っているのは、自分自身だからです。
過去のすべてを肯定できなくてもいい。
失敗したことも、後悔したことも、
今でも納得できないこともあるかもしれません。
それでも、ここまで歩いてきた自分を認めてあげることはできると思うのです。
そして、人にはそれぞれの人生があると気づいたとき、
私は心から、自分を大切にしよう。そう思えるようになりました。
🌸 これから歩いていく道
人生には、さまざまな時期があります。
何かを手に入れようと必死になるとき。
大切な誰かを守るために、懸命に働くとき。
思うようにいかず、立ち止まるとき。
そして、これまで歩いてきた道を振り返り、これからの生き方を考えるとき。
人生には、そんなさまざまな節目があります。
私も今、新しい節目を迎えています。
これまでは、何かに挑み、目の前の問題を乗り越えることに必死でした。
でも、これからはもう少し穏やかに過ごしたい。
経済的な不安を少しずつ減らし、
誰かの言葉に心を振り回されず、
自分の好きなことをしながら、時間を大切に暮らしていきたい。
これから先も、思いがけない出来事はあるでしょう。
それでも、今度は自分の心にも目を向けながら、歩いていきたいと思っています。
人生の道は、誰かと競争するためにあるのではありません。
早く歩く人もいれば、
ゆっくり歩く人もいる。
途中で立ち止まったり、
別の道を選び直したりすることもあるでしょう。
あなたの道は、あなただけが通る道。
これまで歩いてきた道も、
今、立っている場所も、
これから歩いていく道も。
すべて、あなただけの人生です。
誰かの人生と比べるのではなく、
自分の歩いてきた道に、そっと目を向けてみてください。
そこには、あなたが積み重ねてきたものが、きっとあるはずです。
そして、いつか振り返ったとき、
「私も、私なりによく生きてきたな」
そんなふうに、自分に声をかけられたら。
それは、とても尊いことだと思うのです。🌿
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