もうひとりの自分がそばにいると楽になる
以前の私は、わき上がる感情のままに生きていました。
辛い、悔しい、恥ずかしい、悲しい…。
その感情が出てきた瞬間に、
そのまま頭からつま先までどっぷり浸かるような生き方。
素直といえば聞こえはいいけれど
喜ぶときは子どもみたいに全身で喜んで、
つらいときは底の見えない穴の奥まで落ちてしまうタイプでした。
まわりから見たら、とてもわかりやすい性質。
楽しいときは問題ない。
でも、つらさが来たときは自分をコントロールできなくて、
立ち直るまで時間がかかってしまうんです。
カウンセリングで知った「もうひとりの自分」の存在
あるタイミングで受けたカウンセリング。
そのとき使われたのが「オウム返し」という手法でした。
私が「辛いです」と言うと、カウンセラーさんはただ静かに
「辛いんですね」と返してくれる。
私が話す言葉を「○○なことが辛いと感じてるんですね」と
同じ言葉をかけられます。
何回かそのやりとりを繰り返すうちに私は
これまで誰にも相談もしていないこと。
自然と心の奥にしまっていたことを、自分から話し始めていたんです。
家族の相談で行ったはずなのに、
気づけば自分自身の悩みや不満を洗いざらい言葉にしていました。
不思議なんですが、言葉にすることで
「自分は今、何に傷ついているのか」
「本当はどうしたかったのか」
その輪郭がはっきりしてきたんです。
あのときから、私は“俯瞰する自分”を育てはじめた
その経験をきっかけに、
私は自分の頭の中でストレスを感じたとき、
「どうして私は今こう感じたんだろう?」
「この感情の正体は何?」
「本当はどうしたかったの?」
と、一度立ち止まって考えるようになりました。
これはただの“気持ちの切り替え”ではなく、
もうひとりの自分がそっと横に立って、今の自分を見守るような感覚。
俯瞰する力が育っていくと、感情に飲み込まれてしまう時間がぐっと短くなるんです。
あの頃の私は、感情に支配されていた。
でも今は、感情のそばに“気づく自分”がいてくれる。
その変化が、私を本当に楽にしました。
感情に飲み込まれないために
辛いときに辛いと思うことは自然なことだし、
感情が沸き起こるのは、心が動いている証拠。
ただ、問題は
“その感情の渦に巻き込まれてしまうとき” なんです。
渦の中にいるときは、まわりが見えなくなって、
今の自分すら見失ってしまう。
だからこそ、感情に飲み込まれないために
“もう一人の自分” という視点 を持つことが大切になります。
その視点があるだけで、
感情の渦に飲まれる時間が短くなるし、
気持ちの回復もずっと早くなるんです。
たとえば怒りが沸き上がったとき、
「どうしてこんなに怒ってるんだろう?」
と、数秒だけ立ち止まってみる。
“その気持ちを眺めているもうひとりの私がいる”
感情の中心にいる自分と、それを見守るもうひとりの自分──
この二人の間に “時間” と “距離” が生まれると、
あなたを感情そのものからそっと切り離してくれるんです。
「この二人の自分を育てていくことが、
感情に支配されない生き方の第一歩なんです。」
感情を感じるあなたも、眺めるあなたも
両方が「あなた」
繰り返しになりますが以前の私は、
ひとつの感情が出るとそれが全てになっていました。
でも今は、
感情を感じる自分と、
その自分を見守るもうひとりの自分。
この二人がいるおかげで、
私はようやく“感情に支配されない自分”
を育てていけるようになりました。
あなたも、もう一人の自分と出会ってみませんか?

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